ハワイと聞いて思い浮かべるのは、白い砂浜と透き通った青い海かもしれません。しかし、ハワイの真の魅力は、その多様な自然にあります。切り立った緑の山々、熱帯雨林、そして荒々しい溶岩大地。島々を歩く**ハイキング(トレッキング)**は、この息をのむような大自然を肌で感じ、心身をリフレッシュさせる最高の体験です。
この記事では、ハワイのハイキングを安全に、そして最大限に楽しむための準備、おすすめコース、そして大切な自然保護のルールまでを徹底的に解説します。ビーチだけでは終わらない、ハワイの奥深い魅力を探しに出かけましょう。
1. なぜハワイでハイキングをするべきなのか?
ハワイのハイキングは、単なる運動ではありません。それは「アロハ・アイナ(土地への愛)」というハワイの文化を体感する旅です。
1-1. 驚くほど多様な自然環境
ハワイのトレイルは、数時間のドライブで熱帯雨林から乾燥した火山地帯まで、劇的に景色が変わるのが特徴です。
- 青い海と火山の絶景(ココヘッド、ダイヤモンドヘッド): 頂上からは、ワイキキの街並みと、エメラルドグリーンの海が織りなすパノラマビューが待っています。
- 深緑の熱帯雨林と滝(マノアの滝、ジャッド・トレイル): 湿度の高い森の中を進み、固有種の植物や巨大なシダに囲まれます。ゴールで現れる滝は、まさに自然のシャワーです。
- 荒涼とした溶岩大地: 特にハワイ島(ビッグアイランド)では、噴火によって形作られた新しい大地の上を歩く、地球のエネルギーを感じる体験ができます。
1-2. 歴史と文化に触れる体験
多くのトレイルは、かつてハワイの人々が生活や儀式のために使っていた聖なる場所や古代の道です。例えば、いくつかのトレイルに残るピルボックス(戦時中のトーチカ)は、ハワイの歴史の証人でもあります。自然の美しさだけでなく、その土地の歴史にも思いを馳せることができます。
2. 【難易度別】オアフ島のおすすめ絶景ハイキングコース
観光客にとって最もアクセスしやすく、多様なトレイルが揃うオアフ島から、あなたの体力と経験に合ったコースを厳選して紹介します。
2-1. 【初級編】誰でも楽しめる定番と穴場
経験が少ない方、体力に自信がない方、子連れの家族でも安心して楽しめる、整備されたコースです。
マカプウ・ポイント・ライトハウス・トレイル (Makapu’u Point Lighthouse Trail)

マカプウ
- 特徴: ほぼ全行程が舗装されており、坂も緩やかで歩きやすい。往復約3.2km、所要時間は1.5〜2時間程度。
- 絶景ポイント: 頂上付近からは、オアフ島東海岸の青い海とマカプウ灯台を一望できます。冬の時期には、ザトウクジラの潮吹きが見られることもあります。
- ポイント: ベビーカーでも通行可能で、ハイキングというよりは「絶景ウォーキング」といった感覚で楽しめます。
ジャッド・メモリアル・トレイル (Judd Memorial Trail)
- 特徴: ワイキキから車で約20分とアクセスが良いにもかかわらず、深い森の中に入り込める穴場コース。往復約1.6km、所要時間1時間。
- 絶景ポイント: 鬱蒼とした熱帯雨林と、トレイル途中の小川を渡る体験が魅力。街の喧騒を忘れさせてくれる静寂があります。
2-2. 【中級編】絶景を求めるハイカー向け
適度な体力と準備が必要ですが、その努力に見合う最高の景色が待っています。
ラニカイ・ピルボックス・トレイル (Lanikai Pillbox Trail / カイヴァ・リッジ・トレイル)
- 特徴: 全米No.1に選ばれたこともあるラニカイビーチと、カイルアビーチを見下ろす大人気コース。急な坂道や岩場もありますが、往復約1時間で登頂できます。
- 絶景ポイント: 頂上にあるピルボックス(戦時中のトーチカ)からの眺めは、息をのむほど美しく、「天国」と称されるラニカイの海と白い砂浜のコントラストは必見です。
- 注意: 私有地の横を通るため、早朝の訪問や大きな声での会話は避け、静かに歩きましょう。
プウオフル(マイリ・ピルボックス)
- 特徴: 「ピンク・ピルボックス」の愛称でSNS映えすると話題のトレイル。往復約3.2km、所要時間1.5〜2時間。
- 絶景ポイント: ピンク色に塗られたピルボックスが、西海岸のターコイズブルーの海と山の緑とのコントラストを生み出し、まさにフォトジェニック。
2-3. 【上級編】体力と技術が試される本格コース
本格的な登山装備と経験が必要で、急勾配や鎖場、長距離移動を伴うコースです。
ココヘッド・トレイル (Koko Head Trail)
- 特徴: 枕木を利用した1048段の急勾配の階段をひたすら登る、究極の体力コース。往復所要時間1〜2時間。
- 絶景ポイント: 頂上からはハナウマ湾の美しいクレーター地形、東海岸の絶景、そしてオアフ島南部を一望できます。
- 注意: 非常に過酷なコースで日陰が一切ないため、早朝に挑戦することを強くおすすめします。
オロマナ・トレイル (Olomana Trail)
- 特徴: 3つのピーク(頂上)を越える、ロッククライミングの要素もある上級者向けコース。往復約7.1km、所要時間3〜4時間。
- 絶景ポイント: 険しい道程の先に待つ、カイルア方面の壮大なパノラマは圧巻。ロープを使って岩を登るスリルも体験できます。
- 注意: 非常に危険な箇所があるため、悪天候時や単独での登山は絶対に避けてください。
3. 安全に楽しむための準備と持ち物リスト
ハワイのハイキングは楽しいものですが、準備を怠ると危険が伴います。万全の準備で臨みましょう。
3-1. ハイキングの基本ルール
- 時間管理: 日没前に必ず下山できるように、時間に余裕を持って行動しましょう。ハワイの公園の多くは午後6時~10時以降、アクセスが制限されます。
- 天候チェック: 天候が急変することが多いので、事前に天気予報を確認し、悪天候の場合は無理をしないこと。
- トレイルから外れない: 整備されたトレイル外への立ち入りは、自然破壊や事故につながるため厳禁です。
- 危険を冒さない: 柵のない場所での記念撮影や、立ち入り禁止区域への侵入は絶対にやめましょう。
4. 自然を守るための「アロハ・アイナ」マナー
ハワイの自然は非常に貴重で、多くの固有種が存在します。私たちがその美しさを享受するためには、「土地への愛(アロハ・アイナ)」の精神に基づいた行動が求められます。

hawaii
4-1. エコシステムを守るルール
- ゴミは必ず持ち帰る: トレイルにゴミを残さないのはハイカーの基本中の基本です。
- 植物を持ち帰らない: 美しい花や植物であっても、絶滅危惧種である可能性があるため、決して摘み取ったり持ち帰ったりしないでください。
- 動植物に触れない: 野生動物(鳥、カメ、モンクシールなど)を見かけても、触れたり餌付けしたりしてはいけません。特にウミガメは3m以上、ハワイアンモンクシールは15m以上の距離を保ちましょう。
- オヒアレフア保護の徹底: ハワイ固有種の神聖な木「オヒアレフア」を枯らす原因となる菌の拡散を防ぐため、山に入る前後に靴や装備品を洗い、消毒するよう努めましょう。
4-2. ダイヤモンドヘッドの予約システムに注意
観光客に最も人気のあるダイヤモンドヘッド・トレイルでは、ハワイ在住者以外は入場と駐車場の事前予約が必須となっています(2025年現在)。直前では予約が取れないこともあるので、旅行が決まったらすぐに公式サイトで確認・予約しましょう。
公式サイト (英語です)
5. まとめ:ハワイのハイキングがくれる感動
ハワイのハイキングは、ビーチでのんびり過ごす旅とは一味違う、地球の鼓動を感じる体験です。
ダイヤモンドヘッドの頂上から朝日を浴びる感動、熱帯雨林のしっとりとした空気、そしてどこまでも広がる青い海。これらの絶景は、自分の足で登りきった人だけが得られる、最高の報酬です。
「自然を愛し、守る」というハワイの心を胸に、一歩踏み出してみましょう。あなたにとって最高のハワイの絶景に出会えることを願っています!
さあ、あなたの次のハワイ旅行で、どのトレイルに挑戦しますか?